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首輪ユスリカ(3)

 ヘビトンボの幼虫の胸部側面に作られた繭の中のクビワユスリカの前蛹は,3日ほどで,下の写真のように蛹となります.透けて見える繭の中に,幼虫の脱皮殻と蛹の両方があるのがわかりますか.さらに3日ほどで成虫が羽化します.このユスリカは,実はこれまで誰も知らなかった未記載種でした.ヘビトンボの幼虫の体表でしか見つからないので,気づかれないのも当然です.そこで,その生活史,分布などと合わせて,1998年に新種として報告しました(この論文).
 いったん繭を作ってしまうと,クビワユスリカはもう移動できません.この時に,ヘビトンボの幼虫が脱皮してしまうとどうなるのでしょうか.ヘビトンボの幼虫の脱皮殻は,水に流されて石の隙間に引っ掛かったり,水際に流れ着いたりするでしょう.一回だけですが飼育下でそのようなことが起こりました.しかし,ヘビトンボの脱皮殻に付いたクビワユスリカの蛹からはちゃんと成虫が羽化しました.もう一つの危険性として,繭を作ってしまった後,ヘビトンボの幼虫が蛹化のために岸に上陸してしまう可能性があります(土の中に穴を掘ってもぐる).この場合には,おそらくユスリカはうまく羽化できないはずです.しかし,このリスクは極めて低いと思われます.ヘビトンボは幼虫のまま,川の中で丸2年から3年も過ごします.これに対して,クビワユスリカの繭(前蛹+蛹)の期間は6日間に過ぎません.上陸直前6日間に繭を作ってしまうとは,クビワユスリカにとって確かに悲劇ですが.(つづく)

クビワユスリカ蛹
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