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ウスバカゲロウ類の幼虫の捕食行動(4)

 出版された論文とは関係のない内容ですが,ウスバカゲロウ類の幼虫には排泄口がなく(消化管は途中で閉塞),体は完全に閉鎖状態です.栄養は大顎と小顎が合体した吸収顎の先端からしか取れません.普通の昆虫のイメージでは大顎の基部に口があるのですが,ウスバカゲロウ類の幼虫にはそこに何もありません.幼虫には,吸収顎の先端の小さな穴と呼吸に必要な小さな気門しかないはずです.幼虫は一生分の排泄物を体の中に溜めておき,成虫として羽化した時に堅くて光沢のある宿便を一粒排出します.もちろん成虫は小さな昆虫などを襲って丸ごと食べるので,口も排泄口もあります.
 幼虫の体の閉鎖性はおそらく乾燥に耐えるためでしょう(幼虫は乾燥耐性が極めて高い).幼虫を99.5%や70%エタノール溶液に浸けた状態で室温で保存しておくと,エタノールが体内に浸透せず,外見はきれいでも体の中が腐敗していることがあります(針で腹部に穴をあけて液浸にすると良い).採集時あるいは飼育中に傷ついたり,複数個体を入れて咬みあって傷ついたりしない限り,幼虫が何かを排泄することはありません.一方,蛹になる時,幼虫はまゆを作ります.まゆの外には土や砂が付着して何だか粗いまゆだと思ってしまいます.しかし,このまゆはとても緻密で,中を割ってみると,鏡のような光沢を発しています(下の写真はウスバカゲロウ,実際には終齢幼虫の脱皮殻も蛹室内にあり).つまり,蛹室も極めて気密性が高く,乾燥に耐えられるように設計されているのです.
ウスバカゲロウの蛹室
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