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進化的 trade-off が配偶行動の多様性を生む?

 これまで6回にわたって連載してきたように,ヘビトンボ亜科の昆虫のオスにとって,武器を発達させることとプレゼントをメスに贈ることの両方を行うことは難しいようです.広翅目は,センブリ科とヘビトンボ科からなり,ヘビトンボ科にはクロスジヘビトンボ亜科とヘビトンボ亜科が含まれます.センブリ科とクロスジヘビトンボ亜科の仲間には,オスの武器も婚姻贈呈も見られません.またヘビトンボ亜科の中で最も原始的と考えられるムカシヘビトンボ属(南アフリカのみに生息)にもこれらは認められません.婚姻贈呈が見られるのは,いずれもアジアに生息するヘビトンボ属,ミケヘビトンボ属,コガネヘビトンボ属,カブトヘビトンボ属です.一方,オスの武器が発達しているのは,アジアに生息するキバヘビトンボ属,アメリカに生息するオオアゴヘビトンボ属,コブトリヘビトンボ属です.中央アメリカに生息するミドリヘビトンボ属にはこのいずれも発達していません.武器と婚姻贈呈の間には資源の trade-off の関係があるため,このように複雑で多様な配偶行動が進化したと考えられます.とくに婚姻贈呈を行わなくなると同時に,3つのグループ(属)で独立にオスどうしの争いが進化して,オスの大顎やこぶが大きくなっています.しかし,婚姻贈呈が発達すると,オスのコストが大きくなり,交尾頻度が減少します.一方,その利益のために,メスの交尾頻度は上昇すると予想されます.そうなると,オスどうしの争いが引き起こされにくくなります.オスどうしの争い(武器の発達)が進化するためには,婚姻贈呈が一端白紙撤回される必然性があった可能性も考えられます.この点については今後の課題ですね(以上この論文の紹介でした).
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