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オニグルミの実の食べ方(5)

 オニグルミの実の半分を食べるのに,アカネズミは2時間もかかって堅い殻を削らなければなりません.稜線の中央部に穴をあけると,小さい穴で中身を完食できます(上手な食べ方).しかし,他の場所から削る始めると,大きな穴をあけても中身を完食するのは大変です(下手な食べ方).オニグルミの木の近くに定住するメスは,育児中にも巣穴に持ち込んだクルミの実を食べることがあるでしょう.子ネズミたちはそれによってクルミの実の食べ方を経験(学習)する可能性があります.そうして巣立ったアカネズミはすでにクルミの食べ方を経験しているので,すぐに上手に食べられるでしょう.一方,オニグルミの木がない場所に定住したメスの子ではそうした経験が期待できません.巣立ち後,クルミの実を上手に食べるのはなかなか困難かも知れません.オスは子育てに参加することはないので,オニグルミの木のある地域では,こうして母親から子へ,その子のうち娘はまたその子へと,クルミを上手に食べる技術はメス経由で伝搬していきそうです.それを飼育下で再現してみようと考え,上手にクルミが食べられる母親に対して,育児中にクルミを与えなかった場合(A)と与えた場合(B)で,巣立ち後の子ネズミの行動を比較しました.その結果,後者では最初から上手にクルミを食べられる個体の割合が高くなっていました(この論文).森の中で暮らすアカネズミにも,母親から娘に伝えられていく文化がありそうです.
アカ実験
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