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ゼミの後

 毎週火曜日の午後4:20から6:00頃まで,動物生態学研究室のゼミが開催されます.ゼミの後は,食事も兼ねて研究室の大きなテーブルを囲んで,入れ替わり立ち替わり,みんなでお酒を飲みながらワイワイガヤガヤ雑談をします.最近は,差し入れが多く,各地域の名産品や手作り料理も交えて会話がはずみます.今日(21日)はワイン,手作りケーキ,四川や敦煌の中国料理などテーブルの上も賑やかでした.

ワインなど
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門番のワークシェアリング

 動物生態学研究室から,もう一つ論文がonline firstで出版されました.それは,ヒラズオオアリという樹上棲のアリの門番行動に関する論文で,「Observation of plugging behaviour reveals entrance‐guarding schedule of morphologically specialized caste in Colobopsis nipponicus」と題してEthology誌に掲載されました(この論文).働きアリの頭は普通丸い格好をしていますが,木の枝の中に巣を作るヒラズオオアリでは,下の写真のように,出入り口の門番をする特殊な形の働きアリ(兵アリ)が混ざっています.そのコロニーを細長いプラスチック内で飼い,個体識別した門番たちの行動を観察した結果,彼女らは,交代しながらすべての巣の出入り口を24時間体制で護衛していることがわかりました.人工的に開けた穴の所でもちゃんと護衛するのがすばらしい!!.
ヒラズオオアリの門番
出入り口を護衛する門番

ヤマアカガエル分集団の遺伝的多様性を決める要因

 動物生態学研究室で行われたヤマアカガエル分集団の遺伝的多様性に関わる要因についての研究が,「Effects of landscape features on gene flow among urban frog populations」としてEcological Research誌にonline firstとして出版されました.東京都の都市部におけるヤマアカガエルの遺伝的多様性は低下傾向にあり,それは人為環境を含めた景観による遺伝子流動の妨げによって引き起こされることが明らかになりました(この論文).下の写真は早春に産卵場に集まるヤマアカガエルのオスとメスが産んだ卵塊です.

産卵場のヤマアカガエルのオス
ヤマアカガエルの卵塊

ミヤマゴマキリガ

 これも学生が5月初旬に撮ってきた写真ですが,ミヤマゴマキリガを近くの木に止まらせたところです.この蛾の翅の模様はまるで地衣類のようなので,すぐそばの地衣類の付いた木に止まらせたら,確かによく似ていたというわけです.この蛾がいつもこうした所に止まっているという保証はありませんが,そうした木が多ければ,擬態の効果が発揮される確率が高くなり,それによって少しでも生存率が上がれば,地衣類そっくりの模様を持った個体が長い年月の間に増えていくでしょう.

ミヤマゴマキリガ

ムクゲエダシャク

 下の写真は5月上旬に,学生が山梨県で見つけて撮影したムクゲエダシャクのオスです.この蛾では,メスを見つけるのが極めて難しいことがわかっています.昆虫類では,翅がなくて翔ばないメス(オスには翅があって翔ぶ)を見つけるのは一般的に難しいですのですが,ムクゲエダシャクのメスには一応翅があります.何とか見つけてその理由を知りたいと思っています.
ムクゲエダシャクのオス

西表島の海から(2)

 西表島の海中写真には,ウミウシカクレエビも綺麗に写っていました.名前からすると,ウミウシ類の体表で暮らしていることになりますが,ナマコ類にもよく付くようです.下の写真はクロエリナマコの体表にいたウミウシカクレエビです.エビ類の小型種はいろいろなものと共生しています.宿主に悪さをすることもないと思うのですが,そこにはどのような相互作用があるのでしょうか.誰も知らない不思議な関係があるかも知れませんね.

クロエリナマコに付くウミウシカクレエビ

西表島の海から(1)

 4月下旬に西表島の海で撮影された写真を見せてもらいました.砂地なのでサンゴ礁とは違って賑やかではありませんが,そこにはヤッコエイやモンハナシャコが写っていました.(つづく)

ヤッコエイ
モンハナシャコ

中国(雲南省)での野外調査6

 熱帯季節林に滞在中に,もっと山奥のよく保護された熱帯雨林にもでかけました.そこは低地(谷)に発達した森で,乾季といえども湿潤でした.ヤマビルにもしっかり血を与えてしまいました.リーフモンキー,スローロリスなど怪我などで保護された個体をリハビリ(放し飼い)させていました.トビトカゲの1種もいて,のどにある三角形の突起を出したり引っ込めたりしていました.ここ中国最南部の低地は,マレーシアなど東南アジアとまったく同じ動物相であることを再認識しました.現地では多くの人々の協力を得て,個人ではとても行けないような場所での観察ができました.どうもありがとうございました.

熱帯雨林(雲南省)
リーフモンキー
スローロリス
トビトカゲの1種

中国(雲南省)での野外調査5

 まだ乾季ですが,熱帯季節林では他にもいろいろな昆虫類が見られました.下の写真はシジミチョウの仲間です(翅を閉じているところと開いているところ).後翅にひものような突起があります.シジミチョウは普通は翅を閉じて止まるので,これらの突起とその根本にある黒い模様が,まるで触覚,目,前脚を備えた頭部のように見えます.昆虫の一番の天敵である鳥は,餌の捕獲成功率が高くなるように,学習によって,昆虫の頭部をくちばしで襲うようになると考えられています.そうすると,この偽の頭がまず襲われます.しかし,そこは翅だけなので,翅はちぎれてしまいますが,本体はまんまと逃げおおせるというわけです(鳥にちぎられた翅をビークマークと呼び,野外でビークマークをもつ個体の頻度から捕食回避率を推定できます).もし,突然変異が起こらず,後翅にこうした構造がなければ,鳥にすぐに捕食されてしまい不利です.(つづく)

トンボの1種
シジミチョウの1種(裏)
シジミチョウの1種(表)

中国(雲南省)での野外調査4

 この熱帯季節林は,周囲を円形状に蛇行する大きな川(メコン川の支流)で囲まれ,島のように隔離されているため,中型,大型哺乳類は再侵入できていないようです.げっ歯類,コウモリ類,鳥類,トカゲ類などは多く生息していました.ここには,ホタル類も多く,今回2種を確認できました.一つは幼虫でしたが,とても大きくて扁平,発光器も大きく,腹面だけでなく背面にも光を発していました(Lamprigera属の1種).もう一つはゲンジボタルほどの大きさで,全体が茶色のホタルの成虫でした.ホタルのほとんどの種は陸生で,幼虫も林床のカタツムリなどを食べています.(つづく)

Lamprigera sp. larva
Lamprigera sp. larva ventral
ホタル類の1種

中国(雲南省)での野外調査3

 次は低地林を訪問.標高は600 mくらいの熱帯季節林に滞在して,生物の観察を行いました.ここは自然の森も残されていますが,周囲は集落で囲まれています.4月下旬は乾季の終わりころで,地面はからからに乾いており,落葉が積もっています.それでも早朝には気温の低下によって薄く霧がかかり,背の高い木が稜線にシルエットを作ります.大きな板根,イチジク類の実,ジャックフルーツの実などでも,熱帯を強く感じ取ることができます.(つづく)

熱帯季節林
板根
イチジク類の実
ジャックフルーツの実
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都立大動物生態

Author:都立大動物生態
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