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鈴木惟司先生(5)

 鈴木先生は,鳥の行動や生態にとても興味をもっていました.山歩きをしているとマムシグサの仲間(テンナンショウ属)が赤っぽい実をたくさん付けているのをよく見かけます(下の写真はその花と実).しかし,これらの実を鳥が食べているのを見ることはほぼありません.そこで当時の大学院生と共同で,実がなっているマムシグサの仲間のカメラトラップによる野外調査を行いました.その結果,やはりヒヨドリなどの鳥が赤くなった実を食べることがわかりました.糞として種子が分散されるので鳥散布と言えます.一方,アカネズミが登って来て実を食べることも多いことがわかりました.彼らは種子の中身も食べてしまうのでマムシグサの仲間にとっては捕食者です.マムシグサの仲間には少し早め(夏)に結実する種と秋になってから結実する種があります.それぞれにカメラトラップを仕掛けて実の分散者と捕食者の比較も行っています.これらの論文は大学を退職されてからデータを補完し,執筆しました.共同研究者であった学生が病気で亡くなる前に出版することができて先生も本当に良かった思ったことでしょう.
 Suzuki, T. and Maeda, N. (2014) Frugivores of poisonous herbaceous plants Arisaema spp. (Araceae) in the Southern Kanto District, Central Japan. Journal of the Yamashina Institute for Ornithology, 45: 77-91.
 Suzuki, T. and Maeda, N. (2014) Frugivores foraging on a Japanese species of the Jack-in-the-Pulpit, Arisaema angustatum (Araceae), with reference to the general framework of the links between Arisaema and its major frugivore groups in Japan. Biogeography, 16: 79-85.
 鈴木先生は18歳(大学入学)から64歳(大学定年退職)まで,人生の大半を東京都立大学とともに過ごしました.生態学のことをよく勉強し,野外調査や室内実験に明け暮れ,成果を国際誌に論文として発表し,授業・実習・学生の研究指導などの教育活動に熱心に取り組まれてきました.自由な雰囲気と深い議論を信条とし,実り多い人生であったと思います.願わくば,もう少しでも長く自然とかかわることができたならと思わずにはいられません.長い間,動物生態学研究室を支えていただき,本当にありがとうございました.

マムシグサの仲間の花
マムシグサの仲間の実
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