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鈴木惟司先生(2)

 亡くなられた鈴木惟司先生が助手になられた1980年頃から,生態系の生産力や物質循環にかかわる研究とは別に,個体群生態学/集団生物学の理論を基盤として進展した行動生態学(Behavioural Ecology),進化生態学(Evolutionary Ecology),さらに動物の社会性の進化により重点をおく社会生物学(Sociobiology)が世界中に広がって行きました.これら3つの分野はいずれも共通して,個体の適応度の最大化あるいは包括適応度の最大化の下で,採餌行動の最適化,最適生活史戦略,性比の進化,社会性や利他行動の進化などを解き明かして行きました.こうして新しい研究が次々と展開する時代に突入したのです.
 動物生態学研究室では,この動向をいち早く取り込み,本来,個々の野生動物の行動や生活史に興味を持っている教員や学生ばかりであったので,各自がおもしろいように研究を進めて行きました.鈴木先生は,アシナガバチ類に関して,同じ巣の中の個体どうしの相互作用,コロニーの運命,新成虫である雌雄の産出パターン,その性比,新成虫の交尾行動など,地道な野外調査(巣のすべての個体の一生を記録するなど)と飼育実験(毎日手渡しで飼育中の巣に餌をやるなど)に基づいて得られた新知見を論文として発表しています.下記はそのごく一部です.(つづく)

 Suzuki, T. (1985) Mating and laying of female-producing eggs by orphaned workers of a paper wasp, Polistes snelleni (Hymenoptera: Vespidae). Annals of the Entomological Society of America, 78 (6): 736-739.
 Suzuki, T. (1986) Production schedules of males and reproductive females, investment sex ratios, and worker-queen conflict in paper wasps. American Naturalist, 128 (3): 366-378.
 Suzuki, T. (1997) Worker mating in queen-right colonies of a temperate paper wasp. Naturwissenschaften, 84 (7): 304-305.
 Suzuki, T. (1998) Paradox of worker reproduction and worker mating in temperate paper wasps, Polistes chinensis and P. snelleni (Hymenoptera Vespidae). Ethology Ecology & Evolution, 10 (4): 347-359.
 Suzuki, T. (2003) Queen replacement without gerontocracy in the paper wasp Parapolybia indica in temperate Japan. Ethology Ecology & Evolution, 15 (2): 191-196.
 Suzuki, T. (2005) Insemination of workers prior to assuming the position of queens in a temperate paper wasp Polistes snelleni Saussure (Hymenoptera Vespidae). Ethology Ecology & Evolution, 17 (4): 335-339.
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