FC2ブログ

ベトナム産ミナミカワトンボ科(2)

 ベトナムから見つかったもう1つの新種は,Euphaea sanguinea Kompier et Hayashi, 2018です.この新種は,中国南部〜東南アジアにかけて生息する E. ochracea Selys, 1859とよく似ていますが,オスの腹部側面の赤い斑紋(写真上)とメスの腹部側面の橙色の斑紋(写真下)が明瞭で,腹部第6節までに限られていることで,容易に区別できます.ベトナム南部とその国境を越えたカンボジア側に分布しています.分類学的整理ができたので,種を間違えることなく,ミナミカワトンボ科の生態や行動調査を行えることになりました.
Euphaea sanguinea Kompier et Hayashi, 2018

スポンサーサイト



ベトナム産ミナミカワトンボ科(1)

 ミナミカワトンボ科(Euphaeidae)はアジアを中心に分布する中型のトンボの仲間です.つい先日,ベトナムに生息するミナミカワトンボ科全種をまとめた共同研究の論文が出版されました(この論文).40頁にわたるその論文では,2種を新種として記載しました.一つ目は,Euphaea saola Phan et Hayashi, 2018です(下の写真はそのオス).ベトナム中部とそのラオス側に限って分布しています.この地域には,絶滅に瀕しているサオラという大型哺乳類が知られており(ここに紹介),それに因んで命名しました.(続く)

Euphaea saola Phan et Hayashi, 2018

修士論文発表会(2017年度)

 今日(25日)と明日は,生命科学専攻の修士論文発表会です.動物生態学研究室では今年度は4名が発表に臨みました.朝9時からの発表でしたが無事終了しました.後は,この発表会でのコメントや副査の先生のコメントを取り込んで,修士論文を修正し,完成版を提出するのみです.

2017年度修士論文発表会

ツノトンボの幼虫の捕食行動

 ツノトンボの幼虫は,大顎を180度開いて獲物を待ち伏せています.獲物がすぐ側まで来るとその大顎ではさんで捕らえます.幼虫の大顎は小顎と癒合していて,その中央部にストローのような溝があります.先端から分泌物を出して体外消化させながら,養分を吸っていきます.下の写真は2齢幼虫が獲物を捕った瞬間です.
ツノトンボの2齢幼虫の待ち伏せ行動
ツノトンボの2齢幼虫が獲物を捕らえたところ

ツノトンボの1齢,2齢,3齢幼虫

 ツノトンボは,他の脈翅類と同じように,1齢,2齢,3齢(終齢)幼虫を経て蛹になります.蛹になるまでにわずか3回しか脱皮しませんが,その成長っぷりには驚かされます.下の写真は,同一個体の1齢幼虫(下側)の脱皮殻,2齢幼虫の脱皮殻(向かって左側),脱皮直後の3齢幼虫(向かって右側)が写っています.
ツノトンボの幼虫

ツノトンボの幼虫の脱皮

 動物生態学研究室の学生が秋に見つけたツノトンボの孵化幼虫(これ)を数匹採集して来て,かわいがっています.その2齢幼虫が3齢幼虫に脱皮する場面を先日観察することができたということで,写真を見せてもらいました.胸が割れて頭がひとまわり大きい幼虫が確かに出て来ていますね.

ツノトンボ3齢幼虫に脱皮1
ツノトンボ3齢幼虫に脱皮2
ツノトンボ3齢幼虫に脱皮

2018年最初の雪

 この冬初めての雪でした.22日朝9時ころから降り始め,夜中にはやんだのですが,ずいぶん積もりました.首都大学東京のキャンパスでは,20 cmくらい,吹きだまりで30 cmくらいあります.落葉樹は平気ですが,常緑樹は葉に雪が積もり,枝が垂れ下がったり,折れたりしていました.写真はクスノキの大きな枝がいくつも折れた様子です.常緑樹にとって,大雪はかなりのコストになっていますね.

2018年雪
雪で折れたクスノキ

一本の木から2種類の葉が?

 山里の公園に変わった木があるのに気付きました.ヒノキ科ビャクシン属(Juniperus)の園芸品種かもしれません.全体はヒノキの葉のような格好をしていますが,一部にスギの葉のような針葉が混ざっています.枝が折れたり,剪定したりすると,そこから伸びてきた枝には針葉がつくと紹介されています.捕食されるとちくちく痛い針葉が生えるというのはおもしろい現象ですね(単に生理的な変化?,それとも遺伝的にも変化?).

ビャクシン属の植木
ビャクシン属の植木の葉の二型

カメラトラップの設置と回収

 20日と21日に,カメラトラップの設置と回収の手伝いをしました.かつては,森の中に泊まり込んで直接観察をする以外に方法がなかった調査が,今では,カメラトラップを仕掛けるだけで,カラー動画で自動的に撮影される時代になりました.鳥や哺乳類の野外調査ではとても役立つ技術です.

樹上のカメラトラップ

宮下和喜先生

 昨日(1月7日),宮下和喜(みやしたかずよし)先生の告別式がありました.87歳でした.宮下先生は,1979年4月から1993年3月まで動物生態学研究室の教授として,研究・教育に力を注がれました.自由な研究室の雰囲気は先生の教えで,今でもそれを大切にしています.長野農業専門学校(現在の信州大学農学部)を卒業されて,農林省農業技術研究所昆虫科第二研究室長を務められている途中,東京都立大学の動物生態学研究室の教授として赴任されました.先生の専門は個体群生態学ですが,材料は多岐にわたり,農業害虫はもちろん,ナメクジ類,クモ類,それから外来生物全般に興味をもたれていました.研究をするなら,研究対象となる材料だけでなく,いつも哺乳類の1種であるヒトの行動や習性の進化的背景にまで想いをはせて調べることを強調されていました.研究室での研究対象の広さは今でも受け継がれています.先生は,1976年に思索社から「絶滅の生態学」を,1977年にブルーバックス「帰化動物の生態学ー侵略と適応の歴史」を出版されています.40年以上も前に出版された一般書ですが,いずれもデータに裏付けされた正確な内容で,今でも有用で重要なレビューとしての価値を失っていません.今後も,広い視野で,野外調査に基づく研究をどんどん進め,先生の知らなかったことを次々と発見して行けたらと思っています.
絶滅の生態学

2018年のスタート

 年が明け,2018年がスタートしました.新年早々,博士論文1つ,修士論文4つの申請締め切りがあって,なかなかゆっくりとは過ごせません.いつものことですが,今年はどんな発見があるでしょうか.

元日
プロフィール

首都大動物生態

Author:首都大動物生態
研究室の日常の紹介
研究室HP
研究室HP in English

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
カウンター
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR