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ヤマアカガエルのマイクロサテライト座

 DNAの塩基配列には,・・・GTTCGCATATATATATATATCGATCAG・・・というような繰り返し配列が存在します.この例では,ATが7回繰り返されていますが,繰り返し配列では繰り返し数が変化してしまうことがよく起こります(6回の繰り返しだと2塩基分短く,8回の繰り返し数だと2塩基分長くなります).個体ごとの遺伝的差異を検出するとき,この繰り返し配列を利用することができます.こうした遺伝的解析の方法をマイクロサテライト解析と呼びます.ヤマアカガエルの繰り返し配列を含むDNAの部分を増幅するためのプライマーを設計した論文が,共同研究として出版されました(この論文).今後,これらのプライマーを用いて,ヤマアカガエルの集団遺伝構造の解析が可能です.
ヤマアカガエル(八王子市)
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アミノ酸窒素同位体比に及ぼす飢えの効果

 脱アミノ基やアミノ基転移を繰り返すグルタミン酸では,アミノ基が保存されるフェニルアラニンに比べ,安定同位体比が高くなる性質があります.これを利用して,いろいろな生物の栄養段階を調べることができます.しかし,野外において,捕食者は長期にわたって餌が捕れず,飢えにさらされていることがよくあるでしょう.そこで,長期の飢えがグルタミン酸とフェニルアラニンの安定同位体比にどのような影響を及ぼすのかを調べた共著論文が先日出版されました(この論文).ヘビトンボの幼虫(下の写真)を使って,餌(生きたアカムシ)を毎日与えた個体と2ヶ月間まったく餌を与えない個体を用意し,その筋肉のアミノ酸同位体比を測定したという論文です.
ヘビトンボの幼虫

台湾5日目

 最終日には午前中の飛行機で帰国しました.最後に台湾へ来たのは1988年です.29年間に日本も台湾も大きく様変わりしました.台湾で今回とくに驚いたのは,どんなに田舎でもセブンイレブンとファミリーマートがあること,それも日本と全く同じような商品が置いてあること,台北から高雄まで台湾高速鉄道(日本の新幹線と同じ)で2時間で移動できることなどです.そうした生活の変化に影響されることなく,自然はいつまでも昔のまま残り続けてほしいものです.
台湾のセブンイレブン
台湾のファミリーマート
台湾高速鉄道

台湾4日目

 3日目の午後に台北に移動し,4日目は台北南部に広がる山すその町へ.あいにく小雨まじりの曇天で,気温も低いのですが,渓流ではヘビトンボ類の幼虫を見ることができました.上の写真はヒメヘビトンボ(Protohermes costalis)の幼虫で,日本のヘビトンボの幼虫にそっくりですが体色がやや黄色いのが特徴です.下の写真はモンヘビトンボ(Neochauliodes formosanus)の幼虫で呼吸管が細長く,基部で離れているのが特徴です.台湾には Neochauliodes sinensis も記録されていますが,極めて稀でまだ見たことがありません.これら3種は中国大陸にも広く分布しています.台湾にはさらにタイワンクロスジヘビトンボ(Parachauliodes nebulosus)も生息しています.これは台湾・石垣島・西表島の固有種です.この幼虫は日本でも未発見で,今回も気にしていたのですが見つかりませんでした.
台湾産ヒメヒビトンボの幼虫
台湾産モンヘビトンボの幼虫

台湾3日目

 墾丁に初めて来たのは今から38年前.その時には石灰岩台地を覆い隠すように森林(背丈は低い)が広がっていました.今は植物園の色合いが濃く,ドングリの森,果実の森,ヤシ林,蘭嶼島固有の樹木園などが植栽されて作られています.それでも,野生のタイワンザルがいて(増えた),キノボリトカゲのオスが木の幹に下向きに止まってなわばりを張り,カラフルな蝶(写真はマダラチョウに擬態するルリモンジャノメ)が飛び交い,台湾らしさを演出してくれました.
タイワンザル
キノボリトカゲのオス(台湾)
ルリモンジャノメ(台湾)

台湾2日目

 緑地があるためか,ホテルのベランダには,クリハラリスもやって来ました.こう見えても,このリスはここでは野生種(土着種)ですが,日本では外来種です.伊豆大島,江ノ島,鎌倉にはまずこの台湾南部の個体が導入され,それらが逃げ出して定着したものです(かつてタイワンリスと呼ばれていたものです).
クリハラリス台湾南部

台湾1日目

 3月18日から22日まで4泊5日であわただしく台湾へ行きました.成田から台湾南部の高雄に行き,そこから快速バスで最南端の墾丁に到着しました.ここのホテルのベランダにミカンを置いたら奇麗な鳥が集まって来ました.
台湾の鳥1
台湾の鳥2

日本生態学会第64回大会開催中

 日本生態学会第64回大会が早稲田大学(早稲田キャンパス)で開催されています.15日と16日に,動物生態学研究室からのポスター発表も無事終わりました.いろいろな意見・考え方の人と議論できて,楽しかったのではないでしょうか.研究というのは,その背景や実験材料のことをよく知っておくと同時に,常にもう一歩深く追求するという精神が何より重要です.

日本生態学会第64回大会の看板

日本生態学会第64回大会

 今日(3月14日)の夕方から日本生態学会第64回大会が早稲田大学(早稲田キャンパス)で始まります.明日とあさって(15,16日)にはたくさんの研究ポスターが展示されます(各ポスターの展示は1日限り).動物生態学研究室からも8件のポスター発表を行います.この大会に参加して,ポスター発表を一通り聞く(見る)だけで,今どのような研究が全国の大学や研究機関で行われているのかを知ることができます.大学4年生以下と中学・高校生は,会場の3号館1階の受付で学生証を見せるだけで,無料で自由に参加できます.会場で「へぇー」とか「なるほど」といった言葉が飛び交う発表会になれば思います.
ポスター発表

関東地区生態学関係修士論文発表会

 日本生態学会の関東地区では,毎年3月ころに修士論文発表会を行っています.今年で37回目となるこの発表会が,先日(3月4日)東京大学本郷キャンパスで開催されました.動物生態学研究室からも3名の修士2年の学生が参加して口頭発表を行いました.他の人の発表を聞いていろいろ考えること,また,質問に対してどうすれば的確に返答できるか考えることは,どのような状況においても大切なことです.
関東地区修論発表会

ぬり絵

 昨日紹介したアイフィンガーガエルの発生段階を記載した論文では,卵からオタマジャクシを経て変態するまでの過程を46段階に分け,それぞれを線画(スケッチ)で示しています.それで,ぬり絵に使えます.英語の文章を読むのに疲れたら,好きに着色してみて下さい.

ぬり絵

アイフィンガーガエルの正常発生段階表

 2月末日に,アイフィンガーガエルの正常発生段階を記載した論文が出版されました(この論文).このカエルは木の窪みの雨水が溜まったところに産卵し,オタマジャクシはそこで成長します(産卵場所はここ).そこでは食べるものがないため,メスが未受精卵を定期的に産みに来て,それをオタマジャクシが食べて育ちます.つまり卵食という変わった習性をもっています.今回の論文では,受精卵から子ガエルに変態するまでの過程をつぶさに観察して記載したものです.モリアオガエルのような植物食のオタマジャクシの発生に伴う形態変化とどこが違うのか想像がつきますか(背面からの形態変化はここ).

アイフィンガーガエルの卵
アイフィンガーガエルの幼生1
アイフィンガーガエルの幼生2
アイフィンガーガエルの幼生3
アイフィンガーガエルの変態直後の子ガエル

タイに生息するフィンレイソンリスの毛色多型(4)

 タイに生息するフィンレイソンリス(Callosciurus finlaysonii)のいろいろな毛色の亜種を紹介しましたが,ここにはさらにこのリスに近縁の2種,ハイガシラリス(C. caniceps)とクリハラリス(C. erythraeus)が棲んでいます(下の写真).これらのリス類のミトコンドリアDNAの塩基配列に基づく系統解析を行った結果,ハイガシラリスはフィンレイソンリスに近縁の独立種であることが明らかになった一方,クリハラリスはフィンレイソンリスとそれぞれ別のグループには分かれませんでした.つまり,クリハラリスはフィンレイソンリスと同種として扱うか,あるいは,これら2種はさらに多くの種に区別する必要があります.また,フィンレイソンリスの毛色の異なる亜種どうしの関係は,毛色が赤なら近縁,黒なら近縁,白なら近縁というわけではなく,毛色に関係のない地理的なまとまり(島は固有,大きな川を境に別の遺伝的集団)が認められました.日本にも,外来種としてこれらのリス類が定着してしまった場所がありますが,それらの遺伝的解析結果については,また今度話せればと思っています.それにしても,カラフルなリスたちですね.

ハイガシラリスとクリハラリス
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Author:首都大動物生態
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