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ハコネサンショウウオの変態個体

 9月27日には,栃木県の山奥へ散策に出かけました.まだ紅葉には早く,歩くと少し汗ばむ陽気でしたが,沢の水はとても冷たく澄みきっていました.沢縁りでハコネサンショウウオの変態個体を見つけました.水中で暮らす幼生は頭部に鰓(えら)がありますが,変態とともにこの鰓がなくなって,いよいよ陸上生活を始めます.他にも,頭部が胴体とはっきり区別できる,目が頭部の上の方に位置して突きでるなど,変態個体特有の特徴があります.それでもカエル類に比べれば,変態前後での形態変化はそれほど目立ちません(カエルで言えば,サンショウウオの幼生はオタマジャクシに相当し,変態個体は子ガエルに相当します).
ハコネサンショウウオ幼生2匹
ハコネサンショウウオ変態個体
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ベトナム中部(6)

 高原の一画にはごく狭い範囲に別荘地があるためか,村の食堂では,朝食として,フランスパン+スープカレー風なシチュー+サラダ(スライスしたトマト,ウリ,レタス)が人気でした.かつて仏領であったためフランスパンが根付いています.また,喫茶店があり,ベトナム中部で飲まれる濃いコーヒーを片手に談笑する姿がよく見られました.このコーヒー,金属カップの中には挽きたてのコーヒーがぎっしり詰まっており,そこにお湯を注いであります.少しづつドリップされて下のガラスコップにコーヒーが溜まるのを気長に待ちます(金属容器を少し傾けたりして空気の通りをよくしないと詰まってしまうのですが).お湯は少ないので,ガラスコップの三分の一ほどしか溜まりません.ガラスコップの底にはあらかじめ練乳がたっぷり入っていて,ドリップが終わったら,スプーンで念入りに混ぜます.その後,好みで氷を2粒入れるとアイスコーヒーとして,氷を入れないとホットコーヒーとして飲めるというわけです.ここまでけっこう時間がかかり,その後も一口づつ香りや味を楽しみながらゆっくりと飲みます(とても濃い).その合間に,同時に提供されるお茶も少しづつ飲みます.ゆっくり過ごすにはもってこいのお作法です.こうして,今回も充実した調査旅行を行うことができました.

ベトナム朝食
ベトナムコーヒー

ベトナム中部(5)

 4日目の午後遅く,遠く離れた南部の別の調査地に移動を始め,5日目の夕方に到着しました.途中の森はほとんど伐採されてしまい,とうもろこし,胡椒などの畑か,ゴムの木あるいはコーヒー豆の植林地となっていました.点々と残る自然の木も時間とともに無くなってしまうのでしょうね.南部の調査地は高原となっていて,標高が高いのになだらかな丘陵が続きます.風景は,日本の秋とよく似ていて,バッタ,キリギリス,コオロギが目立ちました.しかし,キリギリスと言っても下の写真のように,体全体にコケや地衣が絡み付いているのではないかと錯覚してしまいそうな種もいて,東南アジアであることにかわりはありません.
ベトナム伐採林
キリギリスの1種

ベトナム中部(4)

 ベトナム中部のラオス国境付近では,自然の森が広がっていて,川が安定しています.森がなくなると,川は荒れて,赤土色の水が流れ,川底の石の隙間にも泥が溜まり,とくに渓流の瀬に棲む生き物が少なくなってしまいます.水源として川の水を利用する山村では,その川の上流部の斜面だけ森を残してあります.しかし,そうした配慮も今では少なくなってしまったのか,良い渓流に出会うことは本当に稀です.ラオス国境付近の保護区では,いろいろな渓流棲の水生昆虫が見られました.Euthyplocidae 科のカゲロウの幼虫(おそらくMesoplocia sp.)は,石礫底の泥の中に潜って暮らしています(下の写真).頭部には立派な大顎を発達させていますが,これは泥に潜るときに使われます.前脚の内側の棘もよく目立ちます.東南アジアに生息する Potamanthidae 科(Rheonanthus 属など)や日本にもいる Polymitarcyidae 科のオオシロカゲロウ(Ephoron)属のカゲロウの幼虫なども掘潜型の生活様式をもち,幼虫の大顎がよく突出しています.これらは幼虫特有の適応として(成虫は通常のカゲロウ類と同じ)独立に進化した形質と考えられます.Euthyplocidae 科では湾曲した大顎に細長い毛が密生するのに対し,Potamanthidae 科 Rheonanthus 属では大顎に長毛はなく,途中から二叉するという特徴があります.また,Polymitarcyidae 科 Ephoron 属の大顎は滑らかに伸びるのではなく,少しでこぼこしています.
ベトナム中部のカゲロウ幼虫

ベトナム中部(3)

 ラオス国境近くの保護区では,ロシアから来た研究者らと同じ宿舎(保護区のオフィス)に滞在しました.彼らは,両生類・爬虫類の系統分類学的研究を行っており,ここに来てもう1ヶ月になるそうです.できれば我々も腰を落ち着けて調査三昧の毎日を過ごしたいものです.発電機を回して午後6時から10時までは蛍光灯がつきますが,水道,電気など何もないところです.道路端のサトイモ科の葉には小さい丸い穴がたくさんあいていました.何の虫があけたのか結局分からずじまいでしたが,印象に残ったので写真を載せておきます.

サトイモ科の葉の丸い穴1
サトイモ科の葉の丸い穴2

ベトナム中部(2)

 2日目から4日目まで滞在した場所は,サオラという哺乳類の保護区を含んでいました.サオラの命名者と命名年を含む種の学名は Pseudoryx nghetinhensis Dung, Giao, Chinh, Touc, Arctander et MacKinnon, 1993 となっています.今から22年前にDungらによって,オリックスに似ているけれどもそれとは違うウシ科の新属新種の哺乳類としてNature誌に記載され,その特異な容姿に世界中の研究者が驚きました(日本のニュースでも流れました).まさかその動物の生息地の中に自分が入るとは,ここに来て,看板(下の写真)を見て初めて気付いたのです.サオラは新属新種として記載された後も片手で数えられるほどの記録(自動撮影カメラに写った,地元の人が捕獲してしまったなど)しかありません.ベトナムとラオスのこの付近にしか分布していないようです.WWFなどが保護のための活動を行っており,この地域もその保護区の一つと言うわけです.
 野生での生息状況についてはまったく手がかりさえつかめていない状況ですが,分子系統解析は進んでいて,ミトコンドリア全塩基配列からは,その形態からは想像できないほどアフリカスイギュウ・アジアスイギュウ・バイソン・ウシに近縁であることがわかっています(Yangら 2013; Bibi 2013).サオラは森林棲で体重が100 kg弱の動物ですが,それと共通の祖先からスイギュウやバイソンといった大型の動物が直系として進化したしたことになります.

サオラ

ベトナム中部(1)

 7泊8日と短期間でしたが,ベトナム中部で野外調査を行ってきました.9月は雨の多い時期ですが,2回ほど短時間のスコールがあった程度で,調査期間中はずっと天候に恵まれました.ベトナム中部にあるダナン国際空港に降り立って,翌日から調査のためにラオス国境に近い山に入りました.ここまで来ると,自然の森が見渡す限り残っています.よくぞここまで自然が残っていたと思っていたら,何とそこは,・・・(続く).
ダナン
ベトナム中部の山

托卵ナマズ

 都心にある水族館へ行ってきました.アフリカのタンガニーカ湖に生息する魚類の水槽に,托卵ナマズが泳いでいました.このナマズは,口内保育を行うシクリッドという魚に托卵をするのです.シクリッドは,口の中に自身の卵を吸い込んで,孵化した稚魚がある程度大きくなるまで保育をします.ところが,その口の中にこのナマズは産卵し,そこで孵化した稚魚はシクリッドの卵や稚魚を食べて育ちます.鳥には,カッコウ,ホトトギス,ツツドリ,ジュウイチといった托卵(小鳥の巣の中に卵を産みつけて,雛を育てさせる)をする種がいます.そのため,托卵ナマズはカッコウナマズとも呼ばれます.もう随分前のことになってしまいましたが,托卵ナマズは日本人によって発見されました.当時,それを聞いてとても驚いたことを今でもよく覚えています.

托卵ナマズ

八丈島の海(4)

 八丈島の海の写真の中に,宇宙のどこかの星に生物がいたらきっとこんな感じの風景だろうというのがいくつもありました(小さい生き物を大きく写していることも関係しているのですが).上の写真は サクラコシオリエビ(ピンクスクワットロブスター),下の写真は キンチャクガ二 です.サクラコシオリエビは甲殻類の1種ですが,ヤドカリの仲間だそうです.キンチャクガニは,両方のハサミにいつもイソギンチャクを挟んで持ち歩いているのだそうです(天敵がくるとそれを振りかざす).

サクラコシオリエビ
キンチャクガニ

八丈島の海(3)

 海の中の色合いの艶やかさは格別ですね.八丈島の海で撮影されたタツノオトシゴの1種とシロスジヒオドシウミウシを見ていると,タツノオトシゴの方はカムフラージュ型の擬態をしていて,ウミウシの方は有毒であることを誇示する警告色をしているように思えます.動物に色覚が獲得される前の世界(太古の海など)はいったいどんな色の景色が広がっていたのでしょうか.

タツノオトシゴの1種
シロスジヒオドシウミウシ

八丈島の海(2)

 八丈島の海の写真の続きです.上は ハナヒゲウツボ.水族館ではおなじみの魚の一つですが,色合い,口周りの飾り,表情どれをとってもこの世のものとは思えない生き物ですね(実在するのですが).下は キビレマツカサ.うろこの濃淡模様が「松かさ」のように見え,ひれが黄色いのでこう呼ばれます.

ハナヒゲウツボ
キビレマツカサ

八丈島の海

 いつもの沖縄の海ではなく,今回は八丈島の海の写真を送ってくれました.八丈島は伊豆諸島の中でも南方に位置する島の一つです.最初の写真は マダラハナダイ です.深い所にいることが多く,ダイビングではなかなか見ることができない魚だそうです.2つ目は ユウゼン という名前の魚です.友禅から名付けられています.なるほどなかなか渋い色合いの魚ですね.

マダラハナダイ
ユウゼン

久しぶりの晴れ

 今日(9月4日)は,久しぶりの晴れ.本当に久しぶりに日差しが戻りました.昆虫たちも活発に動いています.実験材料用のトンボ類を採集するため,近くの川へ出かけました.ミヤマカワトンボ,ハグロトンボ,オニヤンマなど久しぶりに出会った感じです.

オニヤンマ

カラフルなセミ

 今日から9月です.今年の夏は猛暑でしたが,東京では8月下旬からずっとぐずついた天気が続いています.毎日,くもりまたは雨の日が続き,気温も例年になく低くなっています.昆虫たちには受難の年です.この時期(8月下旬から9月)に活動するトンボ類,チョウ類,セミ類などの昼行性の昆虫は,天気が悪くてはよく動けません.ミンミンゼミやツクツクボウシの声もまばらな状態が続いています.うまく繁殖できるかどうか心配になりますね.日本のセミは透明の翅をもつものがほとんどですが,東南アジアには翅に奇麗な模様のついたセミがたくさんいます(不思議!).
タイのセミ1
タイのセミ2
ベトナムのセミ1
ベトナムのセミ2
ベトナムのセミ4
ベトナムのセミ5
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