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チゴベニハゼ

 沖縄から海水魚の写真が届きました.海の中には,成体になっても2cmとか3cmくらいにしかならない魚たちがたくさんいます.小さいのですが,よく見るととても美しいチゴベニハゼもそうした小型の魚の1種です(下の写真).比較的大きな魚はよく目立ち,写真も撮りやすいのですが,小さな魚になるとなかなかうまく写真が撮れないのだそうです.流れのある海水中に魚も人も漂っているのですから,確かに写しにくそうですね.陸上では,かなり小さい昆虫でも体をしかっり固定して写せば,何とかなるのと大違いですね.

チゴベニハゼ
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八丈島と青ヶ島

 昆虫類の野外調査のために伊豆諸島の八丈島と青ヶ島に出かけていた研究室の学生が帰ってきました.八丈島の南半分には古い火山である三原山(なだらか)があり,北半分には比較的新しい火山である八丈富士(急峻)があります(写真上:向かって左に見える小さい島は八丈小島).それよりさらに南の沖合に,海上にそびえ立つような青ヶ島があります(写真中).この島も火山島で,中央火口丘と外輪山がはっきりとわかる形になっています(写真下:中央火口丘の斜面は人為的に縞状に刈られている?).残念なことに,どちらの島にもイタチが人為的に持ち込まれて定着しており,本来の自然と大きく違ってしまった感じがありますが,それでもはるか沖合の島という環境を考えると,生態学的にはいろいろと興味深い島々です.

八丈島
青ヶ島
外輪山

急に停電

 昨日(4月27日)の夜,午後8時30分すぎから八王子市を中心に,大規模な停電がありました.原因不明の停電だとうことですが,1時間ほど真っ暗になってしまいました.最初は家の中のブレーカーが落ちたのかと思ったのですが,外も真っ暗で,逆に夜空が明るく感じるほどでした.久しぶりにロウソウを灯したりして過ごしました.
 首都大学東京も八王子市にあるため,停電していたようです.昆虫などを飼育している恒温室のタイマーが一時間ほど遅れていました.

停電

オーストラリアの甲虫の本

 最近,オーストラリアの甲虫 第1巻(Australian Beetles: Morphology, Classification and Keys, Vol. 1)という本が出版されました.この中に,動物生態学研究室で行ったイッカクという甲虫の仲間の前胸の角の機能に関する研究が引用されています(下の写真の本の379ページ).以前のブログでも紹介しましたが(これ),前胸の角を砂に突き立てて,その後それを背面にそらせて空間を作り,そこにまた角を突き立てて前進していくという行動を証明した論文です(この論文).研究というのはこうして少しずつ知見を増やし,それを全体の中に紡いでいく作業と言えます.遅々としているようでも着実な一歩を踏み出すことが肝心ですね.
オーストラリアの甲虫の本

イナゴの佃煮

 4月ももう半ば,研究室も活気に満ちあふれてきました.今年度の研究計画も決まり,学生たちの調査・実験も本格的に始動です.動物生態学研究室では,毎週火曜日の夕方のゼミの後,研究室で食べ物や飲み物を集めてわいわいとにぎやかに過ごすのが恒例になっています.15日には,長野県から来ている女学生が,イナゴの佃煮を持ってきてくれました.初めて食べる学生も多く,良い経験になったと思います.

Aイナゴ佃煮1
イナゴの佃煮2

殻を背負ったウミウシ

 沖縄からウミウシ類の写真が届きました.上の写真はムラサキウミコチョウという種で,遊泳する姿がまるで胡蝶のように見えることから名付けられています(胡蝶とは蝶のこと).下の写真はコンシボリガイという種です.ウミウシ類には目に見えるような貝殻を持っていないのが普通なのですが.この種には背中に巻貝が付いています.貝とウミウシの中間的な存在で,系統的位置に興味が持たれています.それにしても何とも不思議な模様の生き物ですね.

ムラサキウミコチョウ
コンシボリガイ

八重山列島のカエル

 3月下旬に八重山列島に調査に出かけていた学生の写真の中に,2種のカエルが写っていました.サキシマヌマガエル(上)とヒメアマガエル(下)です(いずれも石垣島で撮影).旅行中に見かけたいろいろな生き物の写真を撮っておいて,後で種の同定をしてみるという作業は楽しいものです.そのためには図鑑や論文が必要ですが,この同定作業を通して,そのグループがどれくらいよく調べられているのか,あるいは調べられていないのかがわかってきます.もし記載されていることに違和感があったら,さらに深く調べてみると,思いがけない発見があったりするものなのです.

サキシマヌマガエル
ヒメアマガエル

カンムリワシ

 3月下旬に八重山列島に調査に出かけていた学生に,西表島で撮影したカンムリワシの写真を見せてもらいました.カンムリワシは南方系の小型の猛禽類で,台湾などでは樹冠で樹上棲リス類を襲ったりします.なかなか精悍な顔つきですね.

カンムリワシ1

ミヤマカワトンボの配偶行動(6)

 ミヤマカワトンボのオスは,交尾器の先端部を使って丸い交尾嚢内の,左右の側突起を使ってバナナ状の受精嚢内の精子を掻き出してから,自分の精子を送り込みます.しかし,側突起は左右に離れて位置するので,交尾嚢の中央に開口する受精嚢内の精子を掻き出すのは簡単ではありません.いつも受精嚢内の精子を掻き出せるとは限らないのです.交尾嚢や受精嚢は伸縮する柔らかい袋ですが,オスの交尾器は硬化しています.両方の側突起が張り出していると,交尾嚢の袋の中でうまく身動きがとれません.ここで,右側の側突起を折り畳み,左側の側突起だけを突出させておくとどうでしょうか.交尾器を交尾嚢の右端に寄せることができ,左の側突起で左の受精嚢の精子は掻き出しやすくなります.この予測は当たっていました.ミヤマカワトンボの交尾を終了間近で中断させると(交尾中のオスの精子の掻き出しは起こるが,そのオスが自分の精子を送り込む前に交尾を中断),メスの右側の受精嚢の精子は残っていますが,左側の精子は掻き出されていることが多かったのです.また,左の側突起のみを切断したオスと交尾をしたメスでは,けっして受精嚢内の精子が掻き出されることはありませんでした.逆に右の側突起のみを切断したオスでは,左の受精嚢内の精子が掻き出されることがありました.つまり,ミヤマカワトンボのオスの交尾器が左右非対称(左の側突起のみ機能的)なのは,少なくともメスの片方(左)の受精嚢内の精子を確実に掻き出すためだと考えられます(それがこの論文).両方の受精嚢内の精子を掻き出せないよりは,少なくとも片方の受精嚢内の精子を掻き出した方が,精子競争を回避するという点で有利なのでしょう.それでは,メスはどうしてこんな複雑な構造の精子貯蔵器官を発達させたのでしょうか.この点については,また別の機会に紹介できればと思います.
 (写真)Aは自然に交尾を終了したメスの交尾嚢と受精嚢(色の濃い部分に精子が入っている).Bは交尾を中断した場合で交尾嚢内の精子はほとんど掻き出されているが,左右の受精嚢内の精子は掻き出されていない.Cは交尾を中断した場合で交尾嚢内と左の受精嚢内の精子が掻き出されている.
ミヤマカワトンボ受精嚢

ミヤマカワトンボの配偶行動(5)

 ミヤマカワトンボのメスは体内にある交尾嚢と受精嚢と呼ばれる袋の中に精子を貯えておくことができます.交尾嚢は丸い形をしています.受精嚢はバナナ状の細長い袋で左右に分かれてY字状です.オスから送られて来た精子は,これらの袋の中でどれくらい生きているものなのでしょうか.もしかすると,袋小路になっている受精嚢の中の精子はもはや生きていないかも知れません.細胞の生死判定をする薬品があります.これは,細胞膜の透過性が正常(生きている)だと緑の蛍光を,細胞が死んでしまい細胞膜が全透性だと赤の蛍光を発するように工夫されています(下の写真はカワトンボの生きている精子と死んでいる精子の蛍光写真).これを使うと精子の生存率が推定できます.ミヤマカワトンボでは,交尾嚢と受精嚢の中の精子の生存率に差はなく,どちらの袋の中でも,精子を受け取ってからの日数とともに少しずつ生存精子の割合が下がることが明らかになりました(この論文).つまり,オスにとって,精子競争を回避するためには(前回のブログ参照),交尾嚢の中の精子も,受精嚢の中の精子も掻き出す必要があるのです.

精子の生死判定

ミヤマカワトンボの配偶行動(4)

 ミヤマカワトンボのメスは,精子を交尾嚢と受精嚢という一続きの袋の中に貯えています.交尾嚢は球状の,受精嚢は左右に分かれたバナナ状の形をしています(下図).これらは柔らかくて伸縮性のある袋になっています.産卵のときは,この袋が開口している輸卵管を卵が通過するときに受精が起こります.メスは何度でも交尾をするため,交尾嚢と受精嚢の中にはいろいろなオスの精子が混ざりあっていて,受精をめぐって精子どうしが競争している状態になっています(精子競争).そこで,カワトンボ類では,オスが交尾をするときに,あらかじめこの交尾嚢と受精嚢の中にある他オスの精子を掻き出してしまってから,自分の精子を送り込むのです(精子掻き出しによる精子競争の回避).ミヤマカワトンボのオスの交尾器のうち,耳かきをさらに反らせたような先端部が,交尾嚢内の精子の掻き出しに,左右に突出した側突起が,バナナ状の受精嚢内の精子の掻き出しに使われます(この論文).(つづく)
ミヤマカワトンボメスの内部模式図

ミヤマカワトンボの配偶行動(3)

 前回,前々回で紹介したように,ミヤマカワトンボのオスの交尾器は,性的に成熟して実際にメスと交配するときには,左右が非対称になっています.左右非対称な交尾器は,オスからメスへの精子の受け渡しにどういう影響を与えるのでしょうか.まずは,交尾の仕方を見てみましょう.水中に枯れ枝や植物の茎といった産卵に適したものがあると,そこに産卵の準備が整ったメスが飛んで来ます.オスはその周りにいて,メスを見つけると交尾に至ります.交尾の際には,オスの尾端でメスの首に相当する部分がはさまれ,メスの腹部の末端がオスの胸の下あたり(実際には第2,3腹節)に接して,そこで精子の授受が起こります(下の写真:雌雄の腹部が合わさって,ハート型に見えますね).つまり,オスの左右非対称な交尾器はこの胸の下にあるのです.この交尾器を用いて,メスの腹部先端の生殖口の少し奥にある精子を貯えておく袋に精子を送ります.その後,メスは,体内の卵を,この袋の下部を通過させながら受精させ,産卵基質に一つずつ産み付けます(体内受精).ところが,カワトンボ類のオスは,精子を送り込む前に,もう一つ変わったことを行います.それが左右非対称な交尾器の形態と関連がありそうなのです.(つづく)

ミヤマカワトンボ雌雄

ミヤマカワトンボの配偶行動(2)

 昨日のブログで紹介したミヤマカワトンボのオスの交尾器の形態について,羽化したばかりの個体では左右対称なのに,性的に成熟した個体では左右非対称になっています.左側の側突起はよく突出するのに対して,右側の側突起は折り畳まれているような形になっています.きちんと測定してみると,羽化直後の個体(teneral),未成熟個体(immature),成熟個体(mature)と徐々に左右非対称性が顕著になることがわかりました(つい最近出版されたこの論文).論文中では本文に数字を並べてあるだけなのでグラフにして描くと下のようになります.(a)は側突起の左右の角度比を,(b)はその突出比を示します.(a)では1が左右対称であることを,1より小さくなるにつれて左側がより外に突出することを,(b)では1が左右対称であることを,1より大きくなるほど左側がより突出することを表わします.トンボ類では羽化後徐々に体が硬化していき,性的に成熟します.つまり体が充分に硬化すると交尾器の側突起が非対称になると考えられます.ただし,乾燥標本やエタノール標本では交尾器の形態がここで示したような自然な形ではなくなっていますから注意して下さい.(つづく)
ミヤマカワトンボ非対称グラフ

ミヤマカワトンボの配偶行動(1)

 日本には,大きくてとても奇麗なミヤマカワトンボという川に棲むトンボが普通に見られます.身近で見られるにもかかわらず,その生態や行動はあまり詳しく調べられていませんでした.実際に,ミヤマカワトンボの配偶行動を調べてみると,興味深いことがわかってきました.下に並べてある写真は,ミヤマカワトンボのオスの交尾器の前半分です.先端部は反り返って耳かきをもっとそらせたような状態になっています.その反転部の左右に側突起が付いています(矢印は左側の側突起を示す).全部で8個体のオスの交尾器を並べてありますが,上段(A-D)は羽化したばかりのオスの,下段(E-H)は性的に成熟したオスのものです.これらを見ると,交尾器の形状に違いが見られますね.さて,その違いとは何でしょうか.この違いによってどういうことが起こると思いますか.(つづく)
ミヤマカワトンボオス交尾器
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Author:首都大動物生態
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