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四国南東部

 28日から30日に,四国南東部へ調査に出かけました.徳島県の海岸を南下し,高知県室戸岬まで足をのばしました.途中,いくつかの川の中流まで入り,渓流性の水生昆虫の調査を行いました.室戸岬への道は,本当に最先端までひた走るという感じで,「岬」を強く意識させてくれます.北海道の襟裳岬とよく似た感覚を味わうことができます.
 今日は大晦日,良い新年が迎えられますように.
●室戸岬の展望台から徳島県側を望む
室戸から
●室戸岬最先端
室戸岬
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片利共生

 自然界には共生関係にある生物がたくさんいます.共生と言っても,相利共生,片利共生,片害共生など様々な関係が考えられます.この中で,片利共生というのは,一方の種の個体には他方の種の個体がいようがいまいが関係ないのですが,他方の種の個体の方はもう一方の種の個体がいてくれると得をするという関係です.沖縄から,ガンガゼ(長い棘のある南方系のウニの仲間)の集団の中に棲むヨコシマエビの写真が届きました.ガンガゼの長い棘の先には毒があるので,これに近づいて写真を撮るのは命がけだそうです(大げさかも?).小動物を食べる捕食者もガンガゼの集団の中には近寄りがたいでしょう.つまり,ガンガゼとその集団の中に棲む小動物の間には片利共生の関係がありそうですね.
●ヨコシマエビ(ガンガゼの黒っぽい長い棘もいくつか写っています)
ヨコシマエビ
●ついでにウミシダ類のそばで見つかったニシキフウライウオ
ニシキフウライウオ

川を泳ぐけもの

 名古屋近郊で,カヤネズミの野外調査の手伝いをしてきた学生が撮影した写真の中に,川を泳ぐ比較的大きなけものが写っていました.人は,子どもの時から見てきた様々な風景が頭の中に焼き付いています.いろいろな動物たち,異国の町並みなど,それがその人の個性を作るといっても過言ではありません.しかし,この写真には,何か違和感があります.川を渡る比較的大きなけものといえば,ニホンカワウソの可能性がありますが,それは絶滅してしまったはずです.実は,川を泳ぐのは,ヌートリアと呼ばれる外来の齧歯類なのです.南米の湿地帯に生息するこの大きなネズミの仲間は,その毛皮を利用するために持ち出され(飼育され),あげくの果てに,世界各地で野生化してしまいました.違和感は,そこにあるのです.これを見て,とっさにそれが何なのかわからないからですね(大発見かも知れない期待感とは別物なのです).
ヌートリア

カヤネズミ

 研究室の学生が,野外調査の手伝いにでかけ,カヤネズミの写真を撮ってきてくれました.名古屋近郊の平野部に広がるヨシ原に,カヤネズミが生息しているそうです.冬になってヨシが枯れてくると地表をよく利用するようになるということです.枯れたヨシに残された古巣も見つかりました.とても小さい野ネズミの1種で,本当にこんなに小さくて生きていけるのだろうかと心配してしまうほどです.
カヤネズミ

カヤネズミ古巣

ウミヘビ科とウミヘビ科

 ウミヘビという和名のついた動物には,2つのグループがあります.一つは爬虫類のウミヘビ科,もう一つは魚類のウミヘビ科です.ずいぶん前になりますが,ウミヘビ類に寄生するツツガムシの仲間(ムシという名前がついていますが,ダニの仲間)を紹介しましたが(ここ),これは爬虫類のウミヘビ類のことです.一方,下の写真は,沖縄から届いたのですが,魚類の方のウミヘビ類の1種で,ミナミホタテウミヘビといいます.砂の中から頭だけしかでていませんが,細長い体が砂の中に埋もれています.海の中に棲んでいるヘビのような生き物ということで,どちらもウミヘビと呼ばれるのですが,爬虫類の方は猛毒を持っているので,咬まれないようにしないといけません.それにしても目がとろんとして眠そうな表情のミナミホタテウミヘビですね.どちらのウミヘビも夜行性です.
ミナミホタテウミヘビ

2回目の忘年会

 昨日は,博士前期課程(修士課程)1年生と学部3年生の就職活動の参考にと,研究室の卒業生が会社の説明会を開いてくれました.その後,今年2回目の忘年会を開きました.いよいよ冬の到来,本格的に冷え込んできた昨夜は,熱い鍋料理がとてもおいしく感じられました.近況報告やら仕事の話やらで,あっという間の5時間でした.

なべ

カエル顔

 沖縄からジョーフィッシュと呼ばれる魚の写真が届きました.海の底の穴から顔をのぞかせて,ダイバーたちには大人気のようです.正面から見るとカエルの顔のように見えるので,テレビアニメにあった「ピョン吉」と呼ばれて親しまれている個体もいるそうです.この仲間の魚は分類が難しいようで,顔つきがみんな違うように見えますが,同種の個体変異なのか,それとも別種なのかわかりません.口内保育を行う魚としても有名です.

ジョーフィッシュ

忘年会

 今日は,研究室のゼミの後,大学から2つ目の駅まで出かけ,中華料理店で忘年会を開きました.駅前にはクリスマス用のイルミネーションが輝いていました.もう今年も残すところ2週間,今年1年間にどんなことがあったか思い出しながら,みんなで楽しく中華料理を食べました.せっかくの中華料理店なので,紹興酒も飲みました.卒業生も参加してくれてにぎやかな会となりました.
多摩センター

中華料理

ササラダニ

 昨日(12月14日)は,毎年この頃に開催される,生命科学コース2年生主催の八王子セミナーハウスでの講演会でした.教員が大学生のころ何を考え,何をしていたか紹介して欲しいということで,ちょっと(20分)話をしました.あちらこちらへ出かけてはササラダニ類を集めてスケッチしていたことなどを紹介しました.下のスケッチは,1977年3月26日に,沖縄島の本部半島の土壌から見つけたササラダニをスケッチしたものです.背中にハンガーのような構造を有していて,幼ダニ,若ダニの抜け殻をすべて背負っていました.何とも不思議なダニで,勝手にハンガーダニと名前をつけていました.その後,1980年に専門家によって,ハラゲカゴセオイダニとして新種記載されたのと同じ種であることを知りました.
ササラダニ

洒落た種名

 日本では,生物の多くに和名(日本語の呼び方,通常カタカナ標記)が付けられています.蝶や鳥のように,古くからよく分類されてきたグループでは,スミナガシ,コムラサキ,オオイチモンジ,カワセミ,ハチクマ,キクイタダキなどのように,外見的特徴や習性をうまくとらえた洒落た和名が付いています.しかし,一方で,これらの名前を聞いて,蝶や鳥だとはわかる人はごくわずかかも知れません.最近では,新種として記載された生物には,XXチョウとか,XXハムシなどのように,最後にそれが所属する分類群の名前を入れることが多くなってきました.その方がわかりやすいのですが,和名が長くなってしまうという欠点があります(例えば,ニセコブスジツノゴミムシダマシ).沖縄から送られてきた海中写真の中に,レモンウミウシがありました,黄色い海綿に擬態していると考えられています.ウミウシの仲間なので,角みたいな突起や中央部に盛り上がった部分が認められますが,小さな穴があいているような体表は海綿そっくりで驚きです.レモンウミウシというのも洒落た名前ですね.
レモンウミウシ

防災訓練

 今日は,動物生態学研究室のある建物で防災訓練が行われました.東日本大震災のとき,研究室が5階であるため,相当に大きな揺れがあり,スチール製の棚が3つ倒れました(その直撃を受けた共用のパソコンは壊れてしまいました).本棚からは本が滑り出し,床一面に広がりました.幸いなことに,以前より薬品類は扉付きの庫品庫や転倒防止付きの棚に置いてあったので,被害は免れました.今日の訓練でも,薬品を実験台の上に放置しておかないことが繰り返し注意されていました.
防災訓練

防災

生態学の講義

 今日から,都心に近い大学で,非常勤講師として「生態学」の授業を行うことになりました.後期の後半部を担当するので,毎週1コマ(90分授業)を6週にわたって行います(途中に冬休みをはさみます).今日は,進化と生態学という題目で,自然選択の説明を中心にして,擬態などの実際の例を紹介しました.例えば,ミュラー式擬態というのは,同所的に棲む有毒な生物どうしが系統的にはかけはなれているのに,互いに模様がよく似ていることをさします.カミキリモドキ類はカンタリジンという有毒成分をもっていますが,その警告色がいろいろな種で似ています.これもミュラー式擬態の例かも知れませんね.もしそうだとすると,どうして互いに似た色彩が進化するのでしょうか.
カミキリモドキ3種

トンボ学会

 昨日(12月8日)は,神奈川県立生命の星・地球博物館で開催された日本トンボ学会に参加してきました.「日本生態学会」,「日本行動学会」,「日本進化学会」など,日本には研究分野ごとの学会がある一方で,研究材料(分類群)ごとの学会もあります.「日本動物学会」,「日本昆虫学会」,「日本ダニ学会」などがそれにあたります.日本トンボ学会もそうした学会の一つで,昨日開かれた年次大会では,トンボを材料にした,分類学,生態学,行動学,保全学,遺伝学,生理学などの研究成果の発表を聞くことができました.
トンボ学会

子供と大人でまるで違う動物

 昨日は,オスとメスでまったく色や模様が異なる昆虫を紹介しました.当然ですが,昆虫の幼虫と成虫はまったく形態的に違います.幼虫を飼育して,それから羽化した成虫を見て,これがあの成虫の幼虫であったのかと判明します,簡単には飼育できない昆虫類の幼虫では,今でもほとんど種の同定ができません.アリのように働き蟻,雄蟻,女王蟻といった階級があると,これらは同時に採れるわけではないので,種の対応付けが大変です(今でも働き蟻と雄蟻で別種となっているものが多くあるはずです).魚も成長につれて色や模様が変化する動物の一つです.ベラやチョウチョウウオの仲間ほどではありませんが,クマノミの仲間でも幼魚と成魚では模様が少し違います.これまで,一つ一つ地道に飼育して対応付けを行ってきたわけですが,今ではDNAの塩基配列の解析から,種の同定ができるようになってきました.といっても,これだけ多様な動物の世界,まだ手つかずの分類群はいくらでもあります.
● 沖縄から届いたハマクマノミの幼魚の写真
クマノミ赤ちゃん1
● こちらはハナビラクマノミの幼魚の写真
クマノミ赤ちゃん2

雌雄でまるで違う昆虫

 下の蝶の写真を見て下さい.オレンジ色の艶やかな蝶と黒地に白班が浮かび上がる洒落た蝶が並んでいます.どうみても別種に見えるこの蝶たち,実は,メスグロヒョウモンのオス(上)とメス(下)なのです.どうしてそれがわかるかというと,野外でこれら2つが求愛・交尾をしているのが観察できます.また,下のメスが産んだ卵を飼育すると,オレンジのオスと黒いメスが羽化します.なるほど,簡単ですね.ところが,昆虫の中には,夜行性で,野外で求愛・交尾を見ることなど到底不可能なグループがあります.メスが産んだ卵を飼育するのも困難な場合がほとんどです.そうしたらどうでしょうか.下の2つは別々の種としか考えられないですね.ごく稀にしか採れないヘビトンボの仲間で,とても同種とは思えない2つのタイプが実は同種のオスとメスであったという論文が出版されました(この論文).メスグロヒョウモンとは逆で,オスが黒くて,メスが黄色い種です.DNAの塩基配列を比較して,両者が同一の種であることが確かめられました.ごく稀にしか採れないこのヘビトンボ,もう少しでオスとメスで別々の種として記載されるところでした.
メスグロヒョウモンオス
メスグロヒョウモンメス

ミ...実...?

 コーヒーブレイクの続きです.沖縄から届いた「黒抜きハナミノカサゴ」と「孤高のクマノミ」の写真です.オニグルミの実の食べ方の連載の後だけに.実(ミ)が続く感じですね.クマノミなど思わずクルミノミ(クルミの実)と間違えそうです.
ハナミノカサゴ

孤高のクマノミ

師走

 今日は12月1日.いよいよ師走.年末に向けて事務的な仕事も研究成果も整理して,新年をすっきりと迎えたいものです.そのためには,あれも,これも,それも,...とりあえず沖縄の海から届いた海中写真(上目使いの魚たち)でも見ながら,コーヒーでも飲んでみましょう.
セダカギンポ
セダカギンポ
イシガキカエルウオ
イシガキカエルウオ
カスリヘビギンポ
カスリへビギンポ
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Author:首都大動物生態
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