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南アジア放浪

 今日は毎週恒例の研究室セミナーの日です.2ヶ月ほどインドから東南アジア各地を放浪してきた学生が昨日ひょっこりと帰って来ました.セミナーの後は,これらの地域のお土産をみんなで食べながら,ワイワイガヤガヤと話がはずみました.九州宮崎の焼酎(一升瓶)も卒業生から送ってもらって,みんな良い気分です.

インド土産
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フタバガキの実とゾウムシ

 1月22日の動物生態学研究室のゼミでは,マレー半島でフタバガキ科の樹木の実とそれを食害するゾウムシ類の関係をずっと調査されている若手研究者の方に講演をお願いしました.フタバガキ類の樹木は何年かに一度,一斉開花して,多量の実をつけます.どうして毎年開花して結実しないのか,その理由を,その実を食害するゾウムシ類との関係から考えてみようというテーマです.
 フタバガキ科の樹木は,熱帯雨林の高木層を形成する主要な樹種です.それらの種子には,はねつきに使う羽根のような翼が付いていて,落下するときには,子供のときによく作って遊んだ紙のヘリコプターのように舞い落ちてきます.2枚羽根の種子がDipterocarpus属の2種の,3枚羽根の種子がShorea属の1種のフタバガキ科樹木のものです(下の写真).

フタバガキ

化石

 この何年か,昆虫化石に関する論文が,中国の研究者によって多数出版されています.シリアゲムシ類,ヘビトンボ類などあまりなじみがない昆虫に関しても,化石種の形態と現生種の形態を比較して系統樹を作製し,口器の形態など様々なボディプランの進化傾向が議論されています.細部の形態まで残存した全身の昆虫化石は,そう簡単には見つかりません.そうした化石がたくさん得られる中国,世界中から注目されています.
 化石というのは,万人の好奇心をくすぐります.植物の葉の部分化石は,河原の石ころからでも,比較的容易に見つかります.しかし,昆虫や他の節足動物の化石としては,家族で化石を探しに行ったときに子供が見つけたカニの化石(甲幅3 cm弱)が身近では唯一のものです.良い宝物が見つかりましたね.

カニ化石

珍しく大雪

 成人の日は朝から雪が降り,首都大学東京のキャンパスも真っ白になりました.翌日は快晴,研究室の何人かの学生が,雪遊びに興じています.いつもは遅い学生なのに,こんな日には朝9時に集合したそうです.雪で猿の顔を作って,自分の顔をそこに並べて記念撮影をしていました.よく似合っていますよ.

雪だるま

凧揚げ

 今日は,例年より少し遅くなりましたが,研究室の卒業生が何人か集まって,新年恒例の凧揚げをしました.快晴で爽やかな昼下がり,みんなそれぞれに凧を用意して,大学の裏の公園に集まりました.あいにく風が弱いので,現役の学生は元気よく駆けていって凧を揚げています.しかし,立ち止まると落ちてきます.卒業生は息がきれるのをいやがって,小手先だけで揚げようとしますが,そう簡単には揚がるものではありません.それよりも,昼下がりの公園で,思い出話や近況報告に花が咲きます.

凧揚げ

国際交流

 動物生態学研究室では,アリゾナ大学のコプロウスキー博士の研究室(野生動物の生態、保全)と,これまで大学院生の交流やシンポジウムの共催などを行なってきました.今年は,6月から3ヶ月間,アリゾナ大学の研究奨学金(the BRAVO! (Biomedical Research Abroad: Vistas Open!) program at the University of Arizona)に採用された大学4年生2名が,こちらの研究室に滞在し,小哺乳類の採食行動の観察と分析を行なうことになりました.
 首都大学東京には,キャンパス内に国際交流会館と呼ばれる大きな施設(下の写真)があり,海外の研究者や学生が,長期間滞在できるようになっています.中には大会議室やレストランもあり,国際交流をすすめる上で,とても便利な施設です.

国際交流会館

北ベトナム

 ベトナム北部のヘビトンボ類の分類と分布に関する論文が今日出版されました.Letardi A, Hayashi F and Liu X (2012) Notes on some dobsonflies and fishflies (Megaloptera: Corydalidae) from northern Vietnam. Entomotaxonomia 34: 641-650.国をまたいでの共同研究の成果の一つです.ベトナムは南北に長いため,中国や日本に分布する昆虫と東南アジアに分布する昆虫の両方が見られます.
 いろいろな国の人たちの暮らしに触れられることも,調査に出かけたときの楽しみの一つです.ベトナムの北部には,中国南部と同様,多様な民族衣装の文化をもつ人々が暮らしています.色の組み合わせが何とも良いですね.

ベトナム衣装

大きな実と小さな実

 ニホンリスとアカネズミは,オニグルミの実を貯食しますが,クルミの実の大きさによって運ぶ距離が違います.大きなクルミと小さなクルミに小型発信器を取り付けて,それぞれをどこまで運んで貯食したか比べてみました.その結果,ニホンリスでは大きなクルミ(おそらく餌の価値が高い)をより遠くまで運んで隠す傾向がありましたが,アカネズミでは逆に小さなクルミの方を遠くまで運んで隠す傾向がありました.リスに比べて体の小さいネズミでは大きなクルミを遠くまで運ぶのが大変なのでしょう.
 オニグルミにしてみれば,遠くまで運んでもらう方が有利です(ここ).本州以西でニホンリスが棲んでいたら,大きな実の方が遠くへ運ばれます.しかし,もしニホンリスがいなくてアカネズミだけしか棲んでいなかったら,小さな実の方が遠くまで運ばれます.オニグルミの実の大きさは木ごとに違います.アカネズミしかいない地域では,大きな実をつけるクルミの木はだんだん減っていき,小さな実をつけるクルミの木はだんだん増えていくと予測されます.実際に,アカネズミしかいない地域に自生しているオニグルミの実は,ニホンリスがいる地域に自生しているオニグルミの実よりも小さい傾向が認められました(この論文).このように,ニホンリスとアカネズミの貯食行動は,オニグルミの実の大きさの進化にまで影響を与えていそうです.

クルミ大小

ネズミも種子散布

 アカネズミはオニグルミの実をよく貯食します(ここ).貯食されたクルミの実は,その後どうなるのでしょうか.ニホンリスで行なったのと同じように,オニグルミの実に,小型発信器をとりつけ,電波をたよりに隠した場所を探し出しました.秋,森の中に餌箱を設置して(ネズミは通り抜けられるけれども,リスは入れない大きさの金網をはってあります),発信器付きのオニグルミの実を春まで追跡した結果,ニホンリスの時と同じく,地表に分散貯食された実のいくつかは発芽することがわかりました(この本の中).つまり,アカネズミもクルミの種子散布に貢献しているのです.
 ここで,3者の関係を整理してみると,オニグルミとニホンリス,それからオニグルミとアカネズミは,いずれも種子食と種子散布という相利関係,ニホンリスとアカネズミは,オニグルミの実をめぐる競争関係になっています.しかし,そこにはもっと意外な関係があったのです.(つづく)

ネズミ貯食

ネズミとクルミ

 ニホンリスは,オニグルミの実を一方的に食べてしまうわけではなく,貯食行動によってオニグルミの分散に寄与していることが明らかになりました(ここ).オニグルミの実を食べる動物として,他にアカネズミがいます.リスはクルミの実を少し削って隙間を作り,そこに門歯を差し込んで,てこの原理で二分割して中身を食べることができます.一方,ネズミは,堅い殻の側面を削り続けて穴をあけ,中身を食べます.
 このアカネズミ,リスと同じようにクルミの実を貯食します.自分の巣に持ち込む場合(集中貯食)と,一個ずつくわえて運んでいって地表に隠す場合(分散貯食)があります.アカネズミは日本に広く生息しています.そこで,ニホンリスとオニグルミの関係に,アカネズミが深く関わってきます.2者の関係より,3者の関係の方がはるかに複雑になり,解明意欲がわいてきますね.(つづく)

アカネズミ

天使

 新年早々,居間のガラス戸にドンと何かがぶつかったので,振り向くと,キジバトが飛び去るのが目に入りました.幸い,地面に落下することなく飛び立てたようです.けがをしなかったことを祈るばかりです.
 驚いたことに,ガラスには,ぶつかったキジバトの形がくっきりと浮かび上がっていました.胸の部分の羽毛の感じや,両翼の先端の風切羽根の痕跡が見事です.逆光に映えて,空から天使が舞い降りたかのような雰囲気が漂っています.キジバトには,かわいそうでしたが,ちょっと遅れたクリスマスプレゼントが届いたような気分になりました.こんなこともあるのですね.

キジバト鳥型

新年

 新年となりました.今年はどんな発見があり,また,いくつか考えている現象をうまく証明することができるかどうか,今からもう楽しみにしています.
 今日は,裏道から高尾山に登ってきました.高尾山の中腹に長いトンネルを掘って圏央道の建設が進んでいます.トンネル工事によって,地下水位が低下し,尾根筋が乾燥化して樹木が枯れてしまわないか,沢の上流部の水が涸れてしまわないか,心配されているところです.

圏央道
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