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読み聞かせ

 成美堂出版から「10分で読めるわくわく科学」が出版されました.小学1・2年向け,3・4年生向け,5・6年生向けの三部作となっています.この本に登場する動物や昆虫の習性に関して,わずかですが協力することができました.読み聞かせの本として,内容や文章に工夫が凝らされています.子供たちは,きっと自然に対して興味をもってくれることでしょう.
 工学系,農学系,医学系などでは,製品,作物,薬など,研究成果が一般にわかりやすい形であらわされます.生態学や行動学でも,こうした本の内容の中にこそ,これまでに蓄積されてきた成果(新知見)が凝集されていくのだと思います.

わくわく
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国際交流

 ソウル市立大学校(University of Seoul)と首都大学東京の双方の生命科学教室間の国際交流事業として,先週末より韓国の教員と大学院生が来校しています.
 動物生態学研究室にも,2名の大学院生が交代で滞在し,英会話を通して楽しく過ごすことになっています.1週間ほどの短期の交流ですが,若いときにこうした経験をもつことで,徐々に国際感覚が養われていくことでしょう.韓国のおみやげをいただきました.韓国製の羊羹で,またたくまになくなってしまいました.

韓国みやげ

スウェーデンからプレゼント

 25日は,奈良女子大学で開催された日本動物行動学会に参加しました.スウェーデンから一時帰国される知人とこの学会で会って,スウェーデン産カワトンボ類の試料を譲り受けることになっていました.そのトンボ(Calopteryx splendens,下の写真はそのオス)は思っていた以上に小型でしたが,オスの翅の模様や体色の感じは見事でした.

スウェーデン産カワトンボ

首輪ユスリカ

 24日は,三重県で水生昆虫の調査を行いました.地図をじっくりとながめて,調査地の見当をつけておきます.川底の石をおこして得られた水生昆虫の中に,ヘビトンボの幼虫を見つけることができました.
 ここのヘビトンボの幼虫の半数近くには,胸部の腹がわにユスリカの幼虫が付いています.下の写真の中央部(ヘビトンボの幼虫の前脚と中脚の間)に写っていますが見えますか?.頭部が黒くて細長い形をしています,クビワユスリカという種の幼虫です.ヘビトンボの幼虫の胸に横たわるように付いていて,まるで首輪のように見えます.だから,クビワユスリカと名付けました.おもしろいことに,ここが,このユスリカの幼虫の定位置なのです.(つづく)

クビワユスリカ

ムラサキオカヤドカリ

 今年の夏,研究室の学生たちが小笠原諸島に行ってきました.
 小笠原諸島と言えば,もうずいぶん前になりますが,オカヤドカリ類の調査を行ったことがあります(もちろん許可を得て).そこで見つけた現象は,オカヤドカリ類の1種であるムラサキオカヤドカリの体の大きさが,島ごとに違うということでした.外来種であるアフリカマイマイ(写真左)という大型の陸貝が生息する島では,その殻を利用するヤドカリが多く,体も大きいものがほとんどです(写真右).一方,アフリカマイマイが侵入していない島では,海岸に打ち上げられた海産の貝殻や陸に棲むカタツムリ類の殻を利用しています.外洋の小笠原諸島では大きな貝がほとんど生息しておらず,これらの貝殻を利用しているオカヤドカリは体が小さいものばかりでした(小笠原諸島のオカヤドカリ類:とくにムラサキオカヤドカリの巨大化と矮小化.小笠原研究年報 1990年 14: 1-9).
 この調査結果は,「外来種ハンドブック」(地人書館)にも紹介されています.また,昨年(2011年8月10日19:30〜)放映された「ちょっと変だぞ日本の自然」(NHK総合)にもとりあげられました.

オカヤドカリ

新しい昆虫図鑑

 ポプラ社から,「ポプラディア大図鑑WONDA昆虫」が,今日発売されました.251ページもあって,約1800種の昆虫がカラー写真で図示されています(値段は税別で2000円).子供向けの図鑑ですが,日本産クワガタムシ類とチョウ類に関しては,全種が掲載されています.もちろん他の昆虫も満載です.
 この図鑑のラクダムシ目,ヘビトンボ目,アミメカゲロウ目(199〜201ページ)について協力させてもらいました.わずか3ページですが,なんと,この仲間の日本産のすべての科が掲載されています.これは図鑑として画期的なことです.それだけでも買って手許に置いておく価値があると思いませんか.
 おまけに,ポケット版の「WONDA昆虫」も付いています.わずか47ページの冊子ですが,この中に楽しい昆虫クイズがあって,ここにもヘビトンボ目やアミメカゲロウ目が登場します.

昆虫図鑑

千振(センブリ)

 もうずいぶん前に,宮城県の山里で「千振」というものを買って,今でも机の横に置いてあります(下の写真).これは,リンドウ科センブリ属のセンブリという植物を日陰で乾かしたものです.短く切って,お湯に浸けてよく振って飲むと,胃の病気に効くと言われています.とても苦く,お湯に浸けて振って飲むことを千回繰り返してもまだ苦いということから,「千振」と呼ばれています.本当にそんなに苦いのか,いつ試そうか思案中です.
 昆虫にも,センブリという昆虫がいます.これは,センブリ科センブリ属のセンブリという昆虫で,日本では北海道に分布しています.こちらは植物の千振とは関係がなく,初期にSemblis属とされていたためにセンブリと名付けられたと考えられています(植物のセンブリにひっかけたか?).今ではSialis属となっているのでピンときません(Semblis属は,ゴマフトビケラ属という全く違う仲間の昆虫になっています).
 ところで,今日,昆虫のセンブリ属の新種の記載の論文が出版されました.中国雲南省から見つかったものを共同研究として報告しました(ここ).

センブリ

個体識別

 今年の全学向けの講義では,210名の学生が受講しています.一人一人名前を呼んで返事をしてもらっていては,時間が無駄に過ぎてしまいます.そこで,A4の紙を4枚,前の列から後の列へ回しながら,学修番号と氏名を書いてもらうことにしています.しかし,そのあとが大変です.名簿に出欠を書き写していかなければなりません.講義は15回あるので,全部で3150(210×15)の欄をチェックしなければなりません.
 このとき,いつも思うことがあります.これが,野外調査の個体識別のデータなら本当にやりがいがあるのにと(良い教師ではありませんね).生態学や行動学では,野生動物の調査を行うとき,標識・再捕法という手法をよく使います.例えば,下の写真のように,動物を捕獲することができたら,その個体を後々識別できるようにしておきます(アオサギの足に個体識別用の標識を付けてあります).もし,210匹を15週間追跡できたら,どんなにいろいろなことが明らかになるだろうかと空想してしまうのです.おまけに,成績まで書き込むのですから(例えば産卵数だとすると),まったくもって理想的なデータセットになるはずです.

アオサギ

亀の本

 本屋めぐりは昔からの日課です.さすがに回数は減ってしまいましたが,書店の本棚をくまなく見回すのは,森の中で珍しい虫を探すのと似ていて,好きです.いつも,一つや二つは気を惹く本に出会えます.
 今日は,研究室の卒業生が監修者となっている本を見つけました(下の写真).彼は,ずっと亀の調査・研究を続けています.監修者プロフィールには,亀おじさんとありました.まったくもって的確な表現だと思います.

亀の本

グリーンアノール

 小笠原諸島の父島と母島には,グリーンアノールと呼ばれるトカゲが棲んでいます(下の写真).しかし,このトカゲは,人間が持ち込んだ外来種なのです.まず,父島に持ち込まれて数を増やしました.その後,父島から母島に持ち込まれました.
 首都大学東京は(東京都立大学であったころから),父島に研究施設を構えていて,小笠原諸島の自然や歴史に関するいろいろな調査を行っています.そこで,グリーンアノールのミトコンドリアDNAの塩基配列を調べた結果(Biogeography 11: 119-124),父島には2つの配列型があるのに,母島では1つの配列型(父島で多い方の型)しかありませんでした.つまり,母島では,父島のごくわずかの個体(オスとすでに交尾をしていた1匹のメスの可能性もあり)が持ち込まれて増えていったと考えられます.もともと,グリーンアノールはアメリカのメキシコ湾岸に棲むトカゲです.小笠原諸島のものは,フロリダ半島や西インド諸島の集団ではなく,ジャクソンビルからルイジアナにかけての集団に由来すると推定されました.

グリーンアノール

国際トンボ学会議2012

 今年の夏(7月28日〜8月2日),小田原にある神奈川県立博物館(生命の星地球博物館)において,国際トンボ学会議(International Congress of Odonatology 2012)が開催されました.
 Plenary lectureとしてSlight but significant modification of male genitalia in Caloperygidaeという講演をしました.英語で話さなければならないので緊張しましたが,司会者である外国人が,講演後に「確かに少しの変化ですが,進化的に意味のある変化ですね.それでは質問をどうぞ.」という英語が耳に入ったときには,本当に安堵しました.つたない英語でしたが,内容は理解してもらえたようです.下の写真は,その時のスライドの一つで,アメリカ北東部で撮影したCalopteryx maculataの雌雄です.
 この会議の様子が,たくさんの写真を綴って,ICO 2012 Memoriesとして,昨日公開されました.興味のある人はご覧下さい(ここ).

アメリカ産カワトンボ類

色ちがい

 動物の体色変異というのは,生態学的に興味深い現象の一つです.しかし,分類学的には,それが悩ましい問題になってしまうことが常です.
 ヘビトンボという昆虫を知っている人も多いと思いますが,下のように成虫の色に個体変異が認められます(例えばここ).色の違いは,翅の色と,胸の模様にあります(雌雄差はありません).写真の向かって左側の個体がよく見られる型です.中央の個体は,翅脈のほとんどが黒化せず,黄斑がよく発達しています.右の個体は,翅脈の黒化を欠くと同時に,黄斑もほとんどでていません.一方,胸(前胸背板)の模様を見ると,中央の個体では,黒い模様が消えかけています.これに対し,右の個体では2本の縞模様がくっきり見えます.
 さて,本当にこれらは同じ種なのでしょうか.同種と別種では,色彩変異の適応性について,違う角度から議論しなければなりません.ここで問題です.これらが同種か別種かを判断するにはどうすればよいでしょうか?

ヘビトンボの成虫の色ちがい

進化的視点

 今年の夏(8月21〜24日)の日本進化学会第14回大会において,シンポジウム「進化的トレードオフ」を開催しました.進化において,一方の形質を発達させると他方の形質が犠牲になるというトレードオフ(二律背反)が,どのような動物の,どのような形質の間で見られるのか,5つの講演を聞きながら3時間にわたって議論しました.
 このシンポジウムの紹介記事が掲載された「日本進化学会ニュースVol. 13, No. 3」が昨日電子版として発行されました.進化生態学や行動生態学と呼ばれる分野では,進化的視点が欠かせません.こうした視点をもつと,動物の形態や行動がこれまでとは全然違って見えることがあります.

日本進化学会ニュース

おみやげ

 旅行をするとおみやげを買いますね.昨日,学生からおみやげをもらいました.福島県のツキノワグマに付いていたオオトゲチマダニのオスの成ダニです.野外の生き物の研究をしていると,こうしたおみやげは,とても歓迎されます.
 オオトゲチマダニは,主に大型の哺乳類に寄生して,吸血するマダニの仲間です.宿主を見つけて寄生するのは,とても大変です.宿主に取り付くために,彼らにはどのような適応性が備わっているのでしょうか.興味のある人は,「ダニのはなしII」(江原昭三編著,1990年発刊,技報堂)の中の「トカゲに寄生する特殊なマダニ」「カメに寄生するカメキララマダニ」を読んでみて下さい.

オオトゲチマダニ

少しずつでも

 研究人生あるいは研究者人生という言葉がありますが,一つのことを継続していると,少しずつであっても,確実に世界が広がって行くことがあります.
 中国南部,東南アジア,インドに分布するNevromus属の分類学的研究の成果が,先日,論文として出版されました.Liu X, Hayashi F, Viraktamath CA, Yang D (2012) Systematics and biogeography of the dobsonfly genus Nevromus Rambur (Megaloptera: Corydalidae: Corydalinae) from the Oriental realm. Systematic Entomology 37: 657–669 (http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1365-3113.2012.00635.x/full).
 ついこの前まで,まさかこんな地域の昆虫の分類学的研究ができるとは思ってもいませんでした.共同研究というものの力を実感できた論文です.生態や行動の研究をする上で,扱っている材料の分類学的実態を知っておかなければ,思いがけない誤りをおかしてしまうことがあるかも知れません.また,こうした分類や系統の知見の中にこそ,新しい研究の「たね」が含まれているものなのです.

Nevromus属

ヤマトクロスジヘビトンボ

 生き物を飼うというのは大変なことです.どうしても調べたいことがあって昆虫を飼育することがありますが,それらを健全に保つことが,実験を成功させる一つの秘訣です.生物の世界には,土曜日,日曜日などの休日はありません.
 今,ヤマトクロスジヘビトンボという水生昆虫の一種の幼虫を研究室の飼育室で飼っているのですが,休日でも水の交換と生き餌を与えに来ています.飼育下なので,自然条件よりは早めに羽化させることができますが,それでも,来年の2月くらいまでは,水と餌の管理に気をつけなければなりません.しかし,これはまったくに苦になりません.きっと興味深い実験結果が得られるはずだからです.

ヤマトクロスジヘビトンボ

擬態

 今日は,大学1〜2年生向けの教養科目である「進化生物学」の講義の日です.進化の様子を理解してもらうために,擬態の実例と考えられているスライドをたくさん見てもらいました.自然の不思議さを感じとってもらえたのではないかと思います.自然の見方が少しでも変わってくれたなら大成功です.大学の授業は,本来,知識欲のある学生と伝えたいことがある教員の間でこそ実を結ぶというものです(これがなかなか難しいのですが).
 写真は,マレー半島イポーの森で見つけたバッタ(直翅目)の一種です.本当に見事に擬態しています.

ABCDE.jpg

リスの生態学

 先日(10月29日午後8時00分から8時59分),NHK BSプレミアムで,ワイルドライフ109「台湾南部の森:鳴き声で団結!リスの生き残り術」が放映されました.見た方も多いのではないでしょうか.
 クリハラリス(タイワンリス)がいろいろな声を出して,互いに情報を伝えあっているという内容です.実は,この内容は,昨年秋(2011年9月)に出版された「リスの生態学」という本に準拠して作られています.この研究は,我々動物生態学研究室で行なわれたものなのです.
 首都大学東京は,東京都立大学を含めた都立の4つ大学が最近一緒になってできた大学です.東京都立大学から首都大学東京に名前は変わりましたが,動物生態学研究室は,東京都立大学のときからずっと変わらずに続いている研究室です.「リスの生態学」には,当時の研究室のようすも書かれています.ぜひ読んでみて下さい.

リスの生態学

イッカクの角

 イッカクと聞くと寒い海に生息する哺乳類のイッカクを思い浮かべる人が多いと思います.イッカクのオスには長く伸びた角があり,これを使ってオスどうしが争います.
 昆虫のアリモドキ科のイッカクをすぐに思い浮かべた人は,なかなかの昆虫通です.下の写真のように,ホソアシチビイッカクの前胸背板には,頭に被いかぶさるような大きな尖った角があります.このイッカクは海岸の砂地に生息し,オスにも,メスにも角があります.いったいこの虫の角はどのような機能をもっているのでしょうか?
 興味のある人は,今年7月に出版された論文:Hashimoto K, Hayashi F (2012) Structure and function of the large pronotal horn of the sand-living anthicid beetle Mecynotarsus tenuipes. Entomological Science 15: 274-279(http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1479-8298.2012.00517.x/abstract)を見て下さい.

ホソアシチビイッカク

バイオコンファレンス2012

 11月9日(金)の午後に,首都大学東京の国際交流会館において,バイオコンファレンス2012が開催されます.
 動物生態学研究室からも,「八王子市南大沢におけるヤマアカガエルの卵および幼生期の成長と生残過程」と「昆虫類の防御物質であるカンタリジンに誘引される特異な節足動物群集」の2題のポスター発表を行ないます.当日参加可能なので,興味があれば来て下さい.

バイオコンファレンス2012のポスター

特別公開企画展開催中

 今日(11月6日)までですが,首都大学東京91年館で特別公開企画展で,「多摩のけものたち」を出展しています.
 これは,学芸員資格の取得のために,各大学で事前実習が必要となり,その実習のための展示施設開設の記念行事として追加出展された物です.研究室にある哺乳類の頭骨や仮剥製などを並べて,多摩丘陵の緑地の分断化と哺乳類の分布の衰退を展示しました.最終日ですがお知らせしておきます.

展示の一部


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首都大動物生態

Author:首都大動物生態
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