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オガサワラヤモリの闘争行動

 単為生殖で増えるオガサワラヤモリには,遺伝的に異なるクローンが存在します.そうしたクローン間で餌をめぐる闘争行動に差があるのかどうか,さらに同所的によく見られるホオグロヤモリ(有性生殖)との闘争ではどうなるのかを実験的に調べた論文が今日出版されました(Murakami, Y. and Hayashi, F. 2018. Behavioral interactions for food among two clones of parthenogenetic Lepidodactylus lugubris and sexually reproducing Hemidactylus frenatus geckos. Current Herpetology 37: 124-132).弱気のクローンと勝ち気のクローンがいるようです.今回の実験では使っていませんが,下の写真はオガサワラヤモリの珍しいクローン型の一つです.
オガサワラヤモリ
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南大東島へ(2)

 南大東島へ行ってきた研究室の学生の話によると,夜中に島内を歩き回ったにもかかわらず,残念ながらオオコウモリを見ることはできなかったということです.しかし,夜中に歩くと,ホオグロヤモリとオガサワラヤモリの姿を見ることはでき,オガサワラヤモリには体の模様が異なる個体が写真におさめられていました(例えば下の2つの写真.どちらも南大東島産オガサワラヤモリ).人里にも生息するこれらのヤモリ類は,太平洋上の島々に広く分布しています.人が故意に持ち込まずとも,船や資材の移動にともなって侵入する可能性があります.一方,流木などの漂流によって,自然に分布が広がった可能性もあります.一概に人為分布とは言えませんね.
オガサワラヤモリ1
オガサワラヤモリ2

兄島へ侵入してしまったグリーンアノール

 グリーンアノールは,北アメリカ原産のトカゲの一種で,ペットとして飼われていることもあり,今では,東京都小笠原諸島の父島と母島に外来種として定着しています.そのミトコンドリアDNAの塩基配列の解析に基づき,父島と母島では遺伝的多様性が低いこと,北アメリカのメキシコ湾北部海岸地域の個体群に由来することなどがわかっています(ここを参照).ところが,今年の3月になって,兄島にもグリーンアノールが侵入してしまったことがわかりました(東京都環境局の発表).グリーンアノールは昆虫などを毎日たくさん食べます.新天地で増え過ぎた彼らの捕食圧は強大で,そこに生息している多くの昆虫類を絶滅においやってしまうと考えられています(実際に父島と母島の昆虫相は,兄島などグリーンアノールがいない島に比べてとても貧弱になってしまっています).そこで,兄島の自然が破壊されないように,グリーンアノールの除去が精力的に行われています.こうして兄島で捕獲された個体の遺伝的解析を我々の研究室で行っています.その結果は,現状把握と今後の対策を決める上でとても役立っているはずです.

グリーンアノール茶

ヒガシニホントカゲ

 先日,知り合いの方より,トカゲが噛み付きあっているという画像をもらいました.八王子市郊外の山林で撮影されたそうですが,確かに噛み付いていますね.これは,ヒガシニホントカゲのオスどうしのけんかです.春になって繁殖期になると,オスどうしのけんかが始まります.口を大きく開けて,相手の顔の側面に噛み付きます.大きく口を開けて強く噛み付くオスの方が強そうですね.実は,オスの方が,メスよりやや頭でっかちなのはそのせいだと考えられます.ひなたぼっこをしているトカゲを見たら頭部の大きさをよく見てみましょう.頭が大きいと感じたらそれはオスです.
 ところで,いわゆるトカゲの分類は最近変更されていて,北海道から近畿地方にはヒガシニホントカゲが,伊豆半島と伊豆諸島にはオカダトカゲが,近畿地方から九州地方にはニホントカゲが生息することになっています.近畿地方と伊豆半島周辺にはそれぞれ分布の境界があって,どのトカゲなのか同定に注意が必要です.
ヒガシニホントカゲ

グリーンアノール

 小笠原諸島の父島と母島には,グリーンアノールと呼ばれるトカゲが棲んでいます(下の写真).しかし,このトカゲは,人間が持ち込んだ外来種なのです.まず,父島に持ち込まれて数を増やしました.その後,父島から母島に持ち込まれました.
 首都大学東京は(東京都立大学であったころから),父島に研究施設を構えていて,小笠原諸島の自然や歴史に関するいろいろな調査を行っています.そこで,グリーンアノールのミトコンドリアDNAの塩基配列を調べた結果(Biogeography 11: 119-124),父島には2つの配列型があるのに,母島では1つの配列型(父島で多い方の型)しかありませんでした.つまり,母島では,父島のごくわずかの個体(オスとすでに交尾をしていた1匹のメスの可能性もあり)が持ち込まれて増えていったと考えられます.もともと,グリーンアノールはアメリカのメキシコ湾岸に棲むトカゲです.小笠原諸島のものは,フロリダ半島や西インド諸島の集団ではなく,ジャクソンビルからルイジアナにかけての集団に由来すると推定されました.

グリーンアノール
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